2016年1月24日日曜日

ぶなニュース №38

復刻版 ぶなニュース  第38号 2003年4月22日発行

○三方分山
  4月19日、以前から気になっていた三方分山へ。
  精進湖から甲府へ抜ける道を車で通ると、正面に山が迫る。 この山は、秋になるときれいな紅葉が現れる。 「ここにはブナが多いに違いない」と以前から思っていた。
  当日は春霞で、まずまずの天気。精進湖畔に車を止め。 川沿いに歩き始める。まもなくすると左側に諏訪神社があり、幹周り10メートル、樹齢1,200年の大杉が現れる。かやぶきの神社とこの御神木が、よい雰囲気をかもしだしている。このような神社を見るとつい自然に手を合わせたくなるから不思議だ。どうやら春のお祭りらしく、赤や白の幟がたててある。暫らくすると村人と神主さんが神社の本殿から出てきた。ちょうど昼時なので儀式が終わったのであろうか。
  神社と巨樹を後にして、また川沿いの道を上って行く。右側に2軒茅葺の家がり、よく見るといまは倉庫がわりに使われているようで、人が住んでいる気配がない。左側の家を見ると、村人が大勢集まっている。どうやら昼の支度らしい。魚屋の軽トラックから仕出しの料理が運ばれている。これから祭りの宴が始まるのであろう。
  川沿いをさらに上って行くと、その川の中に塩ビのパイプがたくさん転がっている。どうやらいまは使われなくなった導水管のようだ。川の美観が損なわれている。粗大ごみがたくさん放置されている状態だ。景観が悪い。
  坂もいよいよい急になり、登りが始まる。周囲にアブラチャンの花がたくさん咲いている。アセビの白い花も左右に見える。
  1時間程登ると女坂峠(標高1,050m)の分岐点に出た。右が五湖山方面、左が三方分山方面だ。道標には、ここから1,500メートルと書いてある。このあたりの尾根筋まで来ると、周囲の広葉樹にブナが多くなる。明るい気分のよい尾根道だ。幹周り3メートル以上のブナはないが、いろいろな樹形のブナを楽しむことが出来る。どちらかと言えば盆栽形が多い。
  登りが急にきつくなり、息があがる。時々休憩をとり、周囲のブナを眺める。
  登りつめると尾根道はほとんど傾斜がなくなり、息を整えることが出来る。登山道の両脇には小さい笹が生え、まるで公園を歩いている感じだ。ブナもたくさん現れ、写真を撮るのが忙しくなる。
  知らぬ間に山頂の標識が立っていて、そこが頂上であることを知る。 平らなのでほとんど頂上と言う感覚はない。 南側が開け、ちょうど富士山が見えるようになっている。眺望をよくするために人為的に景観を妨げる木を伐採したと思われる。富士山は春霞でぼんやり見える。頭に傘雲がかかっている。
  適当な場所にビニールシートを敷き、昼飯にする。時間をみるとすでに13時をまわっていた。アンパンに饅頭、それにお茶とバナナ、これだけ。少し寂しい。
  食後30分ほど休憩し、下山することにした。帰路は精進峠経由である。下りも峠までの尾根筋はブナがたくさんあり、目を楽しませてくれた。峠から先は傾斜のある栗林になり、昨秋に落ちた毬栗がたくさん落ちていた。
  精進湖近くになると杉や桧の植林地に入り、つまらない風景となる。 しかし、ひとつだけここで収穫があった。以外にもその林床にシロバナエンレイソウを発見したからだ。花はつぼみだが、美しい。早速カメラに収める。
  湖畔には14時30分に着く。近くのレストランに寄り、ココアとサラダを注文した。ココアは甘すぎて閉口したが、無料の冷たい水は最高であった。
  レストランを出てからは精進湖の湖畔を歩き、車がとめてある場所へ向かった。釣り人を眺めながら湖畔を歩き、10分程で車に到着した。
  心地よい風が湖面から吹いてきた。

三方分山 2003年4月19日 撮影


○丹沢にブナの森を
 激しく変容していく丹沢の姿を見るとき、私たちの文化生活の犠牲になり 、自然環境悪化により荒廃の道をたどっていく丹沢を思い、憂いに耐えない のです。百年計画でもよい、丹沢にブナの森を・・・・。
 (奥野幸道氏 平成15年4月21日付け神奈川新聞より)